明日に向かって撃て!



概要

「明日に向って撃て!」(原題: Butch Cassidy and the Sundance Kid)は、アメリカ合衆国で1969年に公開された映画です。
この映画は、実在の銀行強盗であるブッチ・キャシディとサンダンス・キッドの逃亡劇を描いた西部劇です。
アメリカン・ニューシネマとして知られる映画の代表作とされています。
特に、ストップモーションを使った結末のシーンは、映画史に残る名場面として広く知られています。

また、主題歌の「雨にぬれても」もヒットしました。
この映画は、2003年にアメリカ国立フィルム登録簿に登録されました。

当初、ポール・ニューマンとスティーブ・マックイーンは、二人でシナリオを買い取り、ニューマンがサンダンス・キッド役で出演する予定でした。
しかし、マックイーンが都合により参加できなくなりました。
そこで、ジョージ・ロイ・ヒル監督の勧めで、ニューマンはブッチ役となり、彼の妻の勧めによりまだ無名だったロバート・レッドフォードがサンダンス役に起用されました。




映画

ブッチ・キャシディ&ザ・サンダンス・キッド
以下の記述は、1960年代に史実を調査してこの映画の脚本を8年がかりで書き上げたウィリアム・ゴールドマンがまとめた、この映画のヒーローとヒロインの3人の実在の記録として初公開時のパンフレットに掲載されたものである。
しかしその後の調査には異なる内容も散見され、一部は不正確でもある。

今日ではボリビアでの死亡に至る経過も必ずしもこの映画の通りでなく(起こったのは1911年ではなく1909年)、また死体が2人のものとは当時確認されておらず、生存説もあるが、少なくとも脚本家ウィリアム・ゴールドマンが調べた結果からこの作品を書いたことは確かである。

ブッチ・キャシディは、本名ロバート・ルロイ・パーカー。1866年生まれ。
祖父の代からの牧童ぐらしであったという。
マイク・キャシディという当時有名な無法者を師と仰ぎ、その名をとってCassidyと名乗り、Butcher(屠殺者)からButchとあだ名された。

29歳の時にロッキー山脈の隠れ家で無法者を集めて銀行襲撃などを繰り返した。
この無法者集団は「ワイルドバンチ」と呼ばれて、西部開拓史上最後の無法集団とも最大の集団ともいわれている。
この集団の中に参加した者にはキッド・カリー、エルザ・レイ、ベン・キルパトリック、ハリー・トレッシー、そしてザ・サンダンス・キッドがいた。
ただブッチは最も多くの人に愛された個性の持ち主とされて、実際に人を射ち殺したのは人生最後のボリビアでの警察隊に包囲された時に生まれて初めてだったともいわれている。

ザ・サンダンス・キッドは、本名ハリー・ロングボー。
ハンサムでお洒落、早射ちの名手で、しかも向こう見ずの男であったと言われている。
エッタの恋人でもあったことまでは史実だが、それ以外はブッチ・キャシディほど詳しくは明らかでない。

二人は20世紀に入った頃に南米に渡り、映画ではすぐにボリビアに行っているが、史実ではまずアルゼンチンに行き、ここで列車強盗を働いている。
人生の幕を閉じたのはボリビアで映画のラストがそれを描いている。
時に1911年で第一次世界大戦が始まる3年前のことであった。

エッタ・プレイスは本名で、生年月日・出生地はともに不明。
デンバーで学校教師をしていた。ワイルドバンチの中にはこの他にも女性がいたが、彼女が一番美しく、また残されたポートレートを見ると洗練されたレディだったとも言われている。
しかも乗馬がうまく、コルト銃とウィンチェスター銃の扱いにも長けているなど、カラミティ・ジェーンばりの『西部の薔薇』といわれた。
2人と別れた後の彼女の消息は誰も分からない。

ブッチ、サンダンス、エッタもいた「ワイルドバンチ」は、この映画とほぼ同時期に製作されたサム・ペキンパー監督でウイリアム・ホールデン主演の『ワイルドバンチ』で描かれている。
しかし映画ワイルドバンチは二人がボリビアで死んだ後の1913年からの話になっている。

スタッフ

監督:ジョージ・ロイ・ヒル George Roy Hill
製作:ジョン・フォアマン John Foreman
製作総指揮:ポール・モナシュ Paul Monash
脚本:ウィリアム・ゴールドマン William Goldman
撮影:コンラッド・L・ホール Conrad L. Hall
特殊効果:L・B・アボット L.B. Abbott
アート・クルイックシャンク Art Cruickshank
音楽:バート・バカラック Burt Bacharach
編集:ジョン・C・ハワード John C. Howard
リチャード・C・マイヤー Richard C. Meyer
衣装デザイン:エディス・ヘッド Edith Head
音響:デヴィッド・ドッケンドルフ David Dockendorf
ウィリアム・エドモンソン William Edmondson

ストーリー

1890年代の西部。
西部開拓も一段落して新時代の波が現れ始めた頃、名を馳せた荒くれ者ブッチ・キャシディ とサンダンス・キッド は家畜を盗み、銀行強盗を繰り返す二人組であった。

ブッチは頭が良く機転の利く男で、いずれは金銀錫など鉱物資源に恵まれた南米ボリビアへ行く夢を描いていた。
サンダンスは美男子で名うての早撃ちであった。

別の二人組ニュースとハーヴェイの誘いで、ユニオン・パシフィック鉄道の列車から大金をせしめた。
そして近くの町へ向かい、サンダンスは学校の教師をしているエッタ・プレイスに会いに行き、二人は彼女とのつかの間の平和な日々を過ごす。
ブッチはエッタと当時の新しい発明品であった自転車で遊ぶ。

やがてブッチとサンダンスが再び列車強盗をすると鉄道会社はついに、最強の刺客ピンカートン探偵社を雇う。
何とか逃げ切ることに成功する二人だったが、刺客たちは追撃の手を緩めることはなく、ひたすら彼らを猛追する。

ブッチは決意してサンダンスとスペイン語が達者なエッタと一緒にニューヨークを経てボリビアを目指した。
しかしボリビアはブッチが思っていたようなゴールドラッシュに湧く状況ではなく、貧しい国であった。
二人は不慣れなスペイン語をエッタに教わりながら銀行強盗を重ねていくうちに、すっかりボリビアでも有名になってしまったのだが、やがて足を洗いスズ鉱山のマネージャーのパーシー・ギャリスに雇われて給料袋のガードマンとなった。

ところが給料袋を運んでいる時に山賊に奪われギャリスが殺害される。
二人は山賊を襲い給料袋を取り返した。

その後二人はエッタに牧場経営を勧められたがブッチもサンダンスも気乗りはせず、彼女は途中で別の道を歩む決心をし、アメリカに帰国する。
二人は元の強盗を働くお尋ね者になっていた。

アルパコ鉱山の給料袋を奪い、近くの村の宿屋で食事をしていたところ、宿屋の少年はラバに鉱山の焼き印を見つけ、警察に通報する。
やがて駆けつけた警察隊との銃撃戦でブッチとサンダンスは追い詰められてしまう。
建物の中に逃げ込んだものの、完全に包囲された上に二人とも手負いとなる。
そんな絶望的な状況の中でも「次はオーストラリアに行こう」などと軽口を叩きながら最後まで生き延びることを信じ、ブッチとサンダンスは銃を構えて外へ飛び出した。

キャスト

ブッチ・キャシディ ポール・ニューマン
ザ・サンダンス・キッド ロバート・レッドフォード
エッタ・プレイス キャサリン・ロス
パーシー・ギャリス ストローザー・マーティン
ブレッドソー保安官 ジェフ・コーリー
ウッドコック ジョージ・ファース

音楽/サウンドトラック

主題歌:雨にぬれても
作詞:ハル・デヴィッド
作曲:バート・バカラック
歌:B・J・トーマス
『ビルボード』1970年1月3日付で週間ランキング第1位を獲得。同誌1970年の年間ランキングは第4位。

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